保護手袋の最新規格
2026/07/01
解説

▼EN規格とは
EN(European Norm)は欧州規格を表し、これまで規格が無く比較が難しかった手袋の性能を見える化しました。これにより欧州に留まらず世界中のメーカー間で製品の認知度と理解を高める役割を果たしています。
欧州規格として承認されるためには、技術規格が欧州標準化委員会(CEN)、欧州電気標準化委員会(CENELEC)、欧州電気通信標準化機構(ETSI)の3つの公認欧州標準化機関(ESOS)のいずれかによって承認される必要があります。EN規格は、透明性、公開性、合意形成のプロセスを通じて設計・作成されています。
▼EN規格の意味
EN ISO 21420: 一般規格
EN ISO 21420は、すべての一般要件を統合するために制定されました。これは手袋の設計、素材の有害性、洗浄・管理方法、快適性要件とサイズ、記載方法、ユーザーマニュアル作成手順が含まれます。
この規格のみを満たす手袋は、特定のリスクから保護するものではないため、個人用保護具とはみなされず、1つ以上のリスクに対して有効であるためには、この規格を他の規格と組み合わせる必要があります。
EN 388:作業用手袋の機械的リスクに対する物性強度規格
EN 388規格は、機械的危険に対する欧州の保護手袋規格です。規格はピクトグラムで表示され、アイコンの下には各リスクに対する手袋のテスト結果を示す4桁の数字と1〜2文字が記載されます。

▶︎ 耐摩耗性(すり減りにくさ) レベル1〜4
試験サンプルを規定の研磨紙で摩耗し、貫通するまでの摩擦回数を測定します。
レベル1から順番に試験し、損傷した摩擦回数で耐摩耗レベルを評価します。

▶︎ 丸型の刃による耐切創性(切れにくさ) レベル1〜5
通称「旧規格」と呼ばれる耐切創性です。
基準布と試験サンプルに一定荷重をかけて、貫通するまでの刃の往復回数を測定します。基準布との比較から算出された“指数値”をもとに耐切創レベルを評価します。

▶︎ 耐引裂性(裂けにくさ) レベル1〜4
手袋素材を引き裂くために必要な力を測定するもので、短冊上にした試験サンプルを、切れ目に沿って一定の速度で引き裂き、引き裂くのに要する強度(N)を測定します。
4回測定し、その中の最低値でレベルを評価します。

▶︎ 耐突刺性(突き刺しにくさ) レベル1〜4
先端で素材を突き刺すために必要な力を測定するもので、試験サンプルに対して試験針を一定の速度で突き刺し、突き刺すのに要する強度(N)を測定します。
4回測定し、その中の最低値でレベルを評価します。

▶︎ 直線型の刃による耐切創性(切れにくさ) レベルA〜F
通称「新規格」と呼ばれる耐切創性です。
平刃を一方向にスライドし、加える荷重と試験サンプルが貫通するまでの刃の動いた距離を測定します。
測定した実測値から耐切創性レベルを評価します。
※旧規格と新規格の相関性はありません。荷重の加わり方を含む試験方法がまったく異なるため、単純に比較することができません。そのため、旧規格で最高レベル5を取得していても、新規格で計測すると低レベルの耐切創力しか持たないケースが起こりえます。新規格を基準に、作業に合致した手袋を選ばれることが推奨されます。

▶︎ 耐衝撃性(瞬間的な力への耐久性)
試験サンプルに対して、規定の重りを落下させ一定の衝撃エネルギーを加え、エネルギーが一定以上に減衰されているかを測定します。合格(P)か不合格(無記)で評価します。

EN 407: 熱的危険に対する規格
EN 407規格は、熱や炎といった熱的危険に対する耐性に関する規格です。

▶︎ 燃焼挙動(燃え広がりにくさ) レベル1〜4
試験サンプルに、バーナーで炎を10秒接触させ、残炎時間と残じん(炎を上げずに燃え続けている状態)時間を測定します。それぞれの時間の短さによって、レベルを評価します。

▶︎ 接触熱(接触した熱の感じにくさ) レベル1〜4
試験サンプルに、規定温度(100℃~500℃)まで加熱したシリンダを接触させ、10℃上昇するまでの時間(しきい時間)を測定します。
しきい時間が15秒以内の規定温度によって、レベルを評価します。

▶︎ 対流熱 (熱の伝わりにくさ) レベル1〜4
試験サンプルに、下からガスバーナーで炎をあて、規定の温度上昇までの時間(熱伝達指数)を測定します。
その指数値の大きさによって、レベルを評価します。

▶︎ 放射熱 (放射熱の伝わりにくさ) レベル1〜4
試験サンプルに、横からヒーターで放射熱をあて、規定の温度上昇までの時間(熱伝達指数)を測定します。
その指数値の大きさによって、レベルを評価します。

▶︎ 小さな溶融金属滴下物 (小さな金属飛沫に対する耐性) レベル1〜4
試験サンプルに、溶けた金属のしずく(0.5g)を一定速度で垂らし、規定の温度上昇までの 液滴の数を測定します。
その滴数の多さ(5滴未満から35滴未満まで)によって、レベルを評価します。

▶︎ 大量の溶融金属滴下物 (溶融金属の飛沫に対する耐性) レベル1〜4
試験サンプルに、溶けた金属を流しかけ、試験サンプルの裏に設置されたセンサーフィルムが損傷する金属量を測定します。
その重量の重さ(30gから200gまで)によって、レベルを評価します。

保護手袋に関するその他の規格
▶︎ ANSI切創規格 レベルA1〜A9
ANSI切創規格は、アメリカの切創リスクに対する規格です。
米国規格協会(ANSI)は、単一の試験方法を使って耐切創性を判定する手指保護分類規格を作成しました。アメリカでは労働安全衛生法により、労働者は「実施する作業、条件、使用期間、リスクおよび潜在リスクに対する手指保護を、性能評価に基づいた適切な手指保護具を選択する」ことが義務付けられています。
この規格には9つの分類があり、A1分類(軽い切創危険、試験片が切れるまでに200〜499g)からA9分類(非常に高い切創危険、試験片が切れるまでに6000g以上)までがあります。切創レベルを判定するため、各手袋は直線刃に対してテストされ、同じ部位の生地を切るのに必要な力(N)が測定されます。
これらの規格を確認することで、使用する手袋が軽減したいリスクに対して最適か判断できます。現場にマッチした最適な手袋の選定にご活用ください。
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